選んでくれてありがとね
仕事がある事はとてもありがたいことだ。
だって、私にお客さんがついてくれなかったら、出勤しても1円だってもらえないのだから。
色んなおじさんと狭い部屋で過ごす。
とても話の面白い人。
あまりタイプではない人。
きちんとお金を払って律儀にオプション以外のことはしない人。
沢山触ってお金を払わないで帰っていく人。
寝不足の頭で何人も相手してくると、どうしても上の空になってしまって、
「今日はおやすみですか?」
「この後なにされるんですか?」
「お昼食べました?」
この決まりきった質問を、このお客さんにはしたっけな?とボケてきてしまう。
しまいには、笑顔を忘れてしまったり、穏やかな時だったら許せる過剰なおさわりにもカチンときて塩対応をしてしまったりする。
そんな事をしてしまったお客さんを送った帰り道は、コノヤローって気持ちと申し訳なさが相まった気分になって、より一層疲れてしまう。
お客さんに、私を選んでくれてありがとう、と全員に愛想よくできてた最初の気持ちをもう一度思い出さなきゃと思った。
心を取り出して、炭酸バブかなんかのお風呂に着けて、浄化したい気持ち。
深呼吸をして、温かいお茶を飲んで、心を落ち着かせなければなと思った。
いつだって、お部屋に入る瞬間は、私を選んでくれてどうもありがとう、と、そんな気持ちでいなきゃなーと思った。